歩留まり計算【鮮魚の計数】現場で使える数字の話 シリーズ第4回 

魚の歩留り
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このシリーズも4回目です。

今回は「歩留まり(ぶどまり)」という言葉を説明します。

魚の歩留まりです。

ちょっと専門的な話になりますので興味ない方はスルーしてください。

「歩留まり」という言葉はなかなかわかったようでわからない言葉です。

この言葉にアレルギーを持つ人も多いのではないでしょうか!

というのも、1分1秒を争う鮮魚の現場でそんな難しい計算してられない!と思うからです。

そもそも鮮魚の仕事を選んだ時点でそんな高度な計算が得意でしょうがないという人は極めて少ないわけです。

別に数字が嫌いでないひとでもできることならパッと出る計算程度にしてくれというのが本音だと思います。

でも、安心してください。

ここでは現場で使えるものだけを解説したいと思います。

最後まで読んでいただければちゃんとわかるようになるでしょう。

特に現場で上司や指導役にパパッとだけ説明されて放置されて困っている人に読んでほしいです。

家でじっくり確認したいという人を意識した内容の記事となっていますので最後までご覧ください。

目次

歩留まり計算は現場をわかってない人が教えるからより難しくなる!

歩留まり計算を難しくしているのは、現場経験が少ない人が教えているからだと思っています。

しかも、教科書を一から十のいらない情報まで教えるからなおややこしくなるのです。

一番最悪なのは、中途半端に分かったような感じで先輩です。

実は教える人自体が分かってないんです。

例えば、養殖のタイやヒラメなどを刺身用で売るときに歩留まりを要求してくる場合です。

というのも養殖のタイやヒラメは「歩留まり」という言葉を使わなくても、その企業や会社がすでに持っているグラム売価というものがあるはずです。

通常の業務においてはそれを使えばいいわけです。

1尾ずつわざわざ計算しなくてもいいわけです。

リアルの現場でそんないちいち計算している人は稀ですから。

歩留まり計算が必要な場面ではないのです。

そして歩留まり計算が必要な場面というのは結構限定的なんですね。

言い方を変えるとどういう場面で必要となるかがわかれば「歩留まり」も怖くないわけです。

結局教える人が歩留まり計算の本当に必要な場面をわかってないとそういうことが起きるのです。

そこで今回は実際の現場で使える「歩留まり」を必要最小限の労力で使えるように解説します。

歩留まりとは

その前にそもそもの話です。

歩留まりとはどんなことをいうのでしょうか?

魚の歩留まりとは魚をおろして小さくなった時のその重さの割合のことを言います。

で、元の魚の重さが比較対象の基準になります。

そしてそれはパーセント(%)で表されます。

言い方としては歩留まり率

歩留まりはなんで必要?

なんでこんな計算が必要かというと魚屋さんが損(そん)しないための計算方法になります。

その小さくなったものを損ないように正しい値段を付ける時に使います。

先に重さを基準にして率を出した後に金額で調整する計算方法です。

歩留まり計算は魚屋さんのためにあるものなのです。

まずは使う言葉はこの3つ

歩留まり計算をする上で、大事な言葉はまず「正味」、「原体」、「歩留まり率」の3つです。

まずはこの3つの言葉を覚えてください。

で、これを別な言い方をすると「元の重さ」、「下ろした後の重さ」、「小さくなった割合」ということです。

ここで注意が必要ですが「原体」は実際の重さでなく伝票=箱記載の重量にしてくださいね。

そうしないと微妙に損をします。

※ここの考え方は結構おもしろいので後々記事にしたいと思っています。

歩留まりとは原体から不要な部分を取り除いて商品として価値が残る部分をいいます。

そして歩留まり率は原体から見て残った価値の部分の割合をいいます。

原体から不要な部分を取り除いて商品として使える部分を正味といいます。←ここが一番大事!

もうそれ自体で商品として値段をつけて売場に出せる状態をいいます。

この三つの言葉をまず理解してください。

歩留まりは重さを基準に計算します

それは重さを基準として判断します。

そして正味を原体で割ったものが「歩留まり率」になります。

式であらわすと、

正味の重さ ÷ 原体の重さ × 100 = 歩留まり率 %

です。

実際にぶりを例に計算してみましょう

では、歩留まり率の出し方をぶりを例にしてやってみましょう。

まず、5kgのぶりがあります。

原体の重さ5kgということです。

その5kgのぶりを刺身用のサクどりにしてみましょう。

ぶりの頭をとって、三枚おろしにして、それをロイン(4つ割)にして、皮を剥きますね。

その皮を剥いた状態が正味です。

もちろん薄腹や端っこを落とした後の状態です。

その4本の重さを測ったら2.25kgだとします。

そうすると正味が2.25kgということになります。

まずこれを頭に入れてくださいね。

今のをざっくり式であらわすとこうなります。

5kg(原体) ー 2.25kg(正味) = 2.75kg(除去部分)

で、歩留まり率を出す時に必要なのはなんでしたっけ?

原体の重さと正味の重さでしたね。

正味の重さが2.25kgで原体の重さが5.0kgを式にすると

正味の重さ ÷ 原体の重さ = 歩留まり率

2.25(kg) ÷ 5.0(kg) = 0.45 × 100 = 45.0%

となります。

結果、この段階での歩留まり率は45.0%ということになります。

歩留まり率が高い方かいい

ちょっと長くなってすみません。

わかりましたでしょうか?

ちなみに歩留まり率はおろす人から見たら数値が大きいほうがいいということです。

同じ5kgを下ろして2kg(40.0%)しか残らない人と2.25kg(45.0%)残る人では0.25kg(5.0%)分多く残した方が利益が残りやすいですからね。

2kgしか残らない人は歩留まり率が悪いので、

もっとキレイ(正味が残るよう)に下ろしてください!

と言われてもしょうがないわけです。

ここまでいいですか?

歩留まりの具体的な使い方 〜重さを金額に直す

では、次にぶりの仕入値(原価)がk1,000円だとします。

原体としてはk1,000ということですがこのまま値段をつけると除去した部分損してしまいます。

正味だけにした場合は原価を計算し直す必要があります。

原価 ÷ 歩留り率 = 歩留まり原価 が公式になります。

原価金額はk1,000円というのはわかっています。

そして先ほど出した歩留り率45.0%という数字がありましたね。

それを当てはめると、

1,000円 ÷ 0.45 = 2,222円(小数点以下四捨五入)

歩留り率が45.0%といった場合、原価はこんな風にかわります。

正味だけで考えると2,222円ということになります。

なのでこの歩留り原価を原価として売価をつけます。

値入れ率みなさんはどのくらい入れているでしょうか?

ここでは35.0%としましょう。

値入れ率から売価を出すときの公式は

原価 ÷ 原価率( 1 ー 値入れ率 ) = 売価 ← これよく使います!

です。

これに数字を当てはめると、

k2,222円 ÷ 0.65( 1 ー 0.35 ) = k3,418円 

k3,418円を丸めてk3,480円またはk3,580円くらいで売価をつけます。

グラムでいうとg358円で値入れ率35.0%以上は確保できるわけですね。

まあ、実際はみなさんg398円くらいで売っているところが多いのではないですか?

すると原体の原価がk1,000円くらいだとすごく儲かっているということです。

ここまで大丈夫ですか?

歩留まり率は売価を出すためのものなんですね。

いくつか公式が出てきました。

公式で覚えると大変ですね。

理屈で覚えると頭に入りやすいかもしれません。

結局、k1,000円で仕入れた5kgのぶりを刺身用サクどりで販売するときに歩留まり率45.0%ならg 348円で売ると値入れ率35.0%確保できるということになります。

頭が混乱している人はいませんか?

現場でないのであわてなくてもいいです。

ここで何度も読み返して納得できるようにしてくださいね。

アラカマは計算に入れないの? ぶり、たいなど

ちなみにぶりならアラやカマ売れるんじゃないの!と思われた方は正解その通りです。

しっかり商品として売れますね。

ただ、基本的に歩留まり計算するときは外して計算します。

ご覧の通り外して計算してもしっかり値入れはとれましたよね。

値入れを考える上ではそれで十分です。

したがってアラカマが売れたらその分純粋な儲けとなるわけです。

原価のない = 他ですでに評価されている 儲けになると考えていいのです。

プラスアルファなら売りやすいですね。

逆にそれをいれて計算するとアラカマが売れ残ったとき計算がずれてしまいます。期待値が期待通りにならないというのは好ましくないですね。

また、アラは30分以内で売れる値段をつけるものといわれています。できるだけ安い値段で早くうってしまうものなのでそれでいいのです。

ここは違うという人もいるかもしれませんが、

それが生鮮が強い店の考え方です。

できるだけアラ、カマの負担を軽くするのです。

歩留まりを考えないといけない魚

今、ぶりを例にして歩留り率から売価の付け方をやりましたが、最初にもいったようにわざわざ歩留まり計算しなくてもいい場合も多いです。

養殖ぶりなんかもだいたい原価決まっているので売価は固定でやっていたりするからです。

あと、ヒラメやタイなどの白身魚もみなさんのところで基本的なグラム売価があるのではないですか?

忙しい時にわざわざ歩留まり計算して時間を無駄にするくらいならその時間を1尾でも多く魚をおろしたほうがいいのかもしれません。

現場では歩留まりの計算の仕方、意味を理解していればいいのです。

その中でどうしても歩留まり計算をしないと売価が出ない、または出しにくいものがあります。

リッキーがすぐ思いつく魚としては舌平目(ねじらがれい)です。

舌平目は最初丸物の状態で売りますがのちに頭と皮を取り除いて販売します。

その時に歩留まり計算してグラム売りしないとちょっと不安になりますね。

経験値でいうと舌平目の歩留まり率は75.0%です。

この歩留まり率だと売価g198円で売っているときはg 264になります。

※早速自分でさっきの計算式を使って答えを確認してみてください。

丸めてg268円にしたりします。

ちなみにこのように原体の売価から歩留まり率を使って歩留り売価を出すこともあります。

あとは、たまにしかしない白身の魚の刺身用皮むきをグラム売価を出すときなどに歩留まり計算します。

あじの刺身用皮むきをグラム売りする時も使いますね。

ただここはリッキーは大体のg売価決めてますけどね。

主にどれだけ儲かるか確認の意味くらいです。

天然マグロなんかも原体で買うときなど使いますかね。

マグロは単価も高いので確認しておきたいからです。

ちなみに養殖マグロはいつも似たような部位をもらうようにして基本ユニット売価事前に決めてあります。

もちろん、頭をとって調理済みで出す魚のユニットプライスを出すときも使います。

これが一番みなさんが必要になる場面かもしれません。

今ほども述べた通り養殖ものはたいてい値段決まっているのでわざわざ歩留まり計算しません。

昔から伝わる歩留り計算を使わない売価の出し方

市場などで使われる歩留まり計算しないで売価を出す方法です。

お店の人にはあまり教えたくないのですが時間がない時とか使います。

絶対に損しないやり方です。

例えばヒラメは原価を単純に3倍にするとかいうやり方です。

白身魚をそうやって計算するのが市場のやり方です。もちろんざっくりです。

その他にも色々あるようですがここではこれだけにとどめておきます。

ざっくりしすぎて結構高い値段になるでしょうね。

競争が激しい小売りではちょっと乱暴すぎてあまり使わないほうがいいと思います。

研修や検定で使う歩留り計算

実際、歩留まりうんぬんが必要となるのは研修や昇格試験の時でしょう。

実践している人ならイメージできるからそんなに難しくはないと思います。

本格的に勉強したい方はこちら ↓ がオススメです!

すぐ分かるスーパーマーケット使える計数ハンドプック (すぐ分かるスーパーマーケットハンドブック)

寿司ネタ一切れ原価を算出してみた!

今回寿司ネタの一切れあたりの原価を出す時に歩留まり計算をする機会がありました。

マグロ、カジキ、ブリ、サーモン、タイ、ヒラメ

全て実際におろしてみて歩留まりを出してみました。

で、ちゃんと魚種ごとに歩留まり率と一切れあたりの単価を出すことができました。

寿司屋さんなどはもうすでに類型化して一覧表にして持っていると思いますが普段寿司をしてない店だったのでなかなか大変でした。

詳細は諸事情により公開できませんがいろんな実数値が得られました。

ヒントとしてはサクをスライスしていくときに出る端材を1割ほどみないといけないということです。

ここの端材はネタの形をキレイにしようとするとと多くでるし、不恰好でもいいから使うのであれば極限まで少なくすることができるでしょう。

普通は海鮮巻きや大名巻きみたいなところで使うのでしょうが今回はそこで使えないというのでその分も引いて考えました。

ヒントはこのくらいにさせてください。

ともあれ、原体魚のkg原価さえわかれば寿司ネタ一切れあたりの金額まで出せるようになりました。

まとめ

歩留まり計算は人によっては苦手意識を強く持つところだと思います。

それはわかっていない人が話を難しくするからです。

歩留まりの話は実はけっこう単純でわかりやすい理屈なのです。

結局、おろして小さくなった魚の身に自分たちが損しない売価をつけるために使われるものなのです。

それが理解できてあと実践していけば、自然に理解できていくものだと思います。

実際にやってみると小さくなった身を伝票通りの値段つけたら絶対に損するというのがわかりますから。

それを調整してくれるのが歩留まり計算なんですね。

魚種別に基本的な歩留まり率を記載した表もあったりします。

ただ、人によって技術が違うので自分なりの歩留まり率の一覧表を作っておいたほうがいいと思います。

いかがでしょうか?

歩留まり計算の意味わかりましたでしょうか?

魚屋の仕事は時間との勝負です。

現場ではあんまり厳格に考える必要もないと思います。

自信を持ってください。

>>鮮魚の計数プロ技集はこちら

<終わり>

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